ユーザビリティって?
Usability という言葉
この1年ほどの間で、ウェブに関して「ユーザビリティ」という単語にお目にかかる機会は格段に増えた。一昨年末の『Webサイトユーザビリティ入門』などの概論書の発行以来、このテーマを扱う書籍やサイトは漸増しており、bk1で「ユーザビリティ」をキーにして書籍検索をしたところ、6件が表示された。
これだと特に多い、ということにはならないものの、その殆どが2000年、2001年の刊行ということから、最近それなりに地歩を固めてきたジャンルであると言えると思う。
ユーザビリティという言葉を初めて聞いた、という方には[ユーザビリティとは?]などをご一読いただくのがいいかもしれないが、簡単に言うと「ウェブページの使いやすさ」ということであり、ユーザビリティが向上することによって、少しでも多くの人にウェブページを使ってもらおう、という意図が含まれている。
使いやすさの落とし穴
ユーザビリティについて考えるとき、ついやってしまうのは自分自身の経験をもとにしてしまうということだ。
もちろん、デザイナー自身が使いにくいと感じる設計では、おそらく世界中の誰もが使いづらいと考えるだろうということは間違いない。なぜならば、あなた(=デザイナー)はこの使いづらい世界の創設者であり、どのようなルールに基づいたナビゲーションがあるのか、いかなるリンクが存在するのかといったサイトの全体像を知っているはずだからだ。
ユーザビリティの要諦としては、こうした個々のウェブサイト特有の「お約束」を知らない人が、どれだけ間違いなくサイトを利用して、必要な(あるいはあなたが見せたいと考えている)情報にアクセスさせるか、という点にあるのである。
開設者などはサイト構築にあたって様々な経験を積んでいるので、ユーザビリティを真剣に考えるときには単独ではあまり役に立たない。このため多くの場合「ユーザビリティテスト」の実施が推奨されている。
テストの実施方法については『ウェブユーザビリティの法則』(Steve Krug 著・中野恵美子 訳/ソフトバンク刊)に詳しい。
主な人物とサイト
ユーザビリティの中心的人物といえば Jakob Nielsen の名を忘れるわけにはいかないだろう。彼と彼のグループが運営する useit.com (Usable Information Technology) は当然ながら英文サイトだが、ユーザビリティを語るうえで、多くの有益な情報をもたらしてくれる。
日本語のサイトでは、U-Site。ここはウェブユーザビリティに限定されないユーザビリティ全般に関するサイトだが、先述したNielsenの人気コラム『AlertBox』の邦訳文を読むことができる。