ドメインの構造
名は体をあらわす
いまでこそ下火になったが、いわゆる「ドットコム」全盛期には、そのサイトの名称を少しでもわかりやすく、キャッチーなものにすべく、ドメイン名の取得については激しい戦いが繰り広げられた(ている)。
現在でもGooなどはドメイン名をめぐって係争を行っているが(ref:日本知的財産仲裁センター)、少しでもよい名前を獲得すべく多くの企業や団体が多くの苦労をしていることはどこかしらで聞いたことがあるかもしれない。
また、そうした営利団体以外であっても、独自ドメインがほしいと思った人は、少しでも自分のサイトのテーマに即したドメイン名を欲しいと思うものだろう。
伝統的ドメイン群
元々ドメイン名については完全な先願主義(要は早い者勝ち)であり、商標やその他の従来からある権利については考慮されてこなかった。このためインターネットへの進出が遅れた大手企業などの場合、自社のドメインが欲しいと思ってもすでにそのドメインが Sold Out して残念な思いをする場面も存在した。
逆にこの先願主義を悪用して、個人や企業で大量にドメイン名を買い占めておき、それを本来使いたがっているであろう企業に法外な値で売却するような事例も存在する。
最近では、ドメインの取得にあたっては商標など既存の権利を尊重する方向になっているようではあるが……。
伝統的なドメインは「ドメイン名.属性.国名」という構成でできており、唯一アメリカだけが(正確にいえばInterNICの管轄下のドメイン)インターネット発祥の地ということで国名を外したドメインを構成できる。
日本の伝統的ドメイン名(JPNICより)
- ac.jp
- (a) 学校教育法および他の法律の規定による学校(高等学校、中学校、小学校および特殊教育諸学校を除く)、大学共同利用機関、大学校、職業訓練校
(b) 学校法人、職業訓練法人 - co.jp
- 株式会社、有限会社、合名会社、合資会社、相互会社、特殊会社、その他の会社および信用金庫、信用組合、外国会社「法人」
- go.jp
- 日本国の政府機関、各省庁所轄研究所、特殊法人(特殊会社を除く)
- or.jp
- (a) 財団法人、社団法人、医療法人、監査法人、宗教法人、特殊法人(特殊会社を除く)、農業共同組合、生活協同組合、その他
CO,AC,GO のいずれにも該当しない日本国法に基づいて設立された法人
(b) 国連等の公的な国際機関、外国政府の在日公館、外国政府機関の在日代表部その他の組織、各国地方政府(州政府)等の駐日代表部その他の組織 - gr.jp
- 日本国内「小さな団体」
- ne.jp
- 日本国内のネットワークサービス提供者が、不特定または多数の利用者に対して営利または非営利で提供するネットワークサービス
RFC1591に基づく伝統的ドメイン名(IANAより)
- .com
- 会社など商用団体用のドメイン
- .edu
- アメリカ合衆国内の各種教育機関用のドメイン
- .net
- ネットワーク事業者用のドメイン
- .org
- .com、.net、.eduなどに適合しなかったその他の団体用のドメイン
- .int
- 国際条約によって確立している組織あるいは国際的なデータ・ベースのためのドメイン
- .mil
- アメリカ合衆国の軍事機関関連用のドメイン
- .gov
- アメリカ合衆国の政府関連機関(軍をのぞく)用のドメイン
jpドメインについては比較的厳格に上記ルールが適用されているが、InterNICのドメインについては申請すれば殆ど通るようなところがあり、あまり厳格な運用はされていない。このため個人でも.comをもつのはごく普通のこととなっている。
各国のドメイン
ここではちょっと趣向を変えて、全世界の国名別ドメイン(ccTLD = Country Code Top Level Domain)を紹介しよう。ccTLDの一覧表は別途用意しているのでそちらも参照いただきたい([ccTLD一覧])。
ドメイン名で国連加入! - ツバルドメイン(.tv)
なんとかテレビ(nantoka.tv)というドメイン名などが手に入れば、テレビ局はまさに名は体を現わすの世界であろう。実際、これはみんなが考えることらしく、.tvであるツバル共和国のドメインについては多くのテレビ局が欲しがったようだ。
2000年4月、ポリネシアに浮かぶ島国ツバル共和国は、この自国のccTLDの独占使用権をIdealab!に売り渡すことで国家予算の3倍以上の収益を得た。この資金を元に、ツバルは同年9月5日正式に国連に加盟することとなった。
一方、現在「.tv」として活動中のIdealab!社は標準価格\5,800/年でドメイン名を販売しているが、価値があると判断されたドメイン名は「プレミアム」がつき、通常よりもかなり高い価格設定を行っている。
.tv社では今後のインターネット帯域のブロードバンド化によってストリーミング配信が増えていく中で、「TV」のドメインは強力な武器となるだろうと予測している。
ちなみに……「asahi.tv」「tbs.tv」「nihon.tv」「fuji.tv」など日本の代表的民放も、すでに取得しているようだった。
人気の高いドメイン - トンガドメイン(.to)、アルメニアドメイン(.am)
レンタルサーバの1サービスとして、ちょっと気の利いたドメイン名としてよくあげられるのがトンガとアルメニアのドメインだ。
トンガドメインでは Pos.toネット の「.pos.to」などが有名だが、英語でも「to」日本語でも「と」を現わすため、いろいろとしゃれた使い方ができる。
アルメニアドメインでは I.AM の「.i.am」サービスが有名。http://i.am/kashi/ のような自分の名前をつけることができるのでいわゆる「ホームページ」としては納得の行くサービスといえよう。
ドメイン最近事情
.comドメインでの登録が増えすぎたり、様々なサービスがごっちゃになっていることから、数年前よりgTLDの再編成がICANNを中心に行われている。
そんな中で「.biz」 「.info」などが登場してきた。
また、汎用ドメイン、他国語ドメインなど、様々なサービスが登場しつつあり、ドメイン名の多様化の潮流がある。
これは自分の使いたかったドメインをすでに使われていた場合などには朗報となるが、一方で企業など自社ブランドを守る立場からするとNICへのドメイン申請をしなくてはならない件数が増大することを意味し、NIC関連団体による体のいい資金稼ぎのお先棒を担いでいるだけだ、という手厳しい指摘もある。
実際、日本語ドメインが解禁になったとき、企業の情報システム担当者たちは血眼になって自社名及び自社名に似ている名称を登録した。これは商標において防衛的に類似商標名を取得するのと同じパターンである。
この日本語ドメインであるが、いまだ実装にはいたっていない……。